武漢肺炎 (新型コロナウィルス) について② 令和2年3月22日現在

寺岡内科医院 寺岡院長202004
さらに163カ国、全世界で拡大中の武漢肺炎ウィルスですが、とうとう東京オリンピックが延期になってしまいました。このような事態を招くきっかけとなった中国政府の大失態は世界から糾弾されるべきだと思いますが、中国政府は「中国では新規発生は抑えられた。中国以外ではどんどん広がっているが、世界は中国の対応を見習うべきだ。」「新型コロナウィルスはアメリカから持ち込まれた可能性がある。」とさえ主張するようになっています。パンデミックにいたる経緯を忘れないためにも、せめて私は武漢肺炎ウィルスという言葉を使いたいと思います。

イタリアでは悲惨なことになっています。中国からの移住者が多すぎたのか、医療従事者削減政策が祟ったのか、3月19日現在で感染者41035人、死者3405人となり死者数では中国を上回る惨状となって来ました。これに較べ中国の数字が少なすぎると思うのは私だけでしょうか。むしろ中国では第2波が広がっているのではないかと心配します。(残念なことに世界はもっと悲惨なことになってしまいました。)

先日、大阪府吉村知事と兵庫県井戸知事のつばぜり合いが話題になりましたが、それでも日本全体では封じ込め策が効いているようで、3月22日現在で感染者1772人、死者45人(死亡率2.5%)で、ヨーロッパ、アメリカの惨状を見ていると大変うまくやっているような印象があります。たとえば、病院は閑散、学校は休校、イベントは中止、人通りが減っています。ほとんどの人がマスクと手洗いと受診抑制を心がけていただいているようで、医療崩壊の危機を理解されているようです。残念ながら今はこのような手段しか無いのです。しかしいつまで…。一般にウィルスは高温多湿に弱いといわれていますが、たとえばインドネシアの状況を見ますと、3月2日の第一発見から2週間で非常事態宣言が出されるなど拡大は深刻なようで、高温多湿の梅雨に期待を寄せるのは楽観過ぎるようです。残念ながら長期の覚悟が必要なようです。

ところですっかりおなじみになったPCR検査(RNA検査)です。これですべての患者を発見し対策ができると考えがちですが、非常に大きな問題があります。感度が非常に重要で、感染者と分っていても陽性と出るのがせいぜい70%程度(感度の不足)で、もし誤って陰性とされてしまったら、残りの30%の人は大手を振って自由に行動できるので感染が拡大します。一方全くの非感染者からも1%の陽性者が出ることが避けられず(特異性の不足)、たとえば10000人の人に行えば100人が誤って陽性とされ病院を埋めることになってしまいます。しかも非常に手間がかかるので何万という人に行うとそれこそ医療崩壊につながります。この例がイタリアです。精度の悪いPCR検査なら返ってしないほうが良いのです。深い深い問題を抱えながらも全国では800箇所で検査が可能ですが、残念ながら当院ではその用意は未だありません。申し訳ありませんが、特定施設にご相談いただくしかないのが実情です。

一方、これだけ経済活動が停滞すると生活が成り立つはずがありません。再開時期をどう決断したら良いのか…。イギリスのジョンソン首相の演説がありましたが、疫学の権威によると、感染が60%にまで広がり抗体を獲得すれば終息に向うという段がありました。(英国民6600万人のうち)26万人が亡くなることを覚悟しようともいいました。日本で言うと50万人の死者を覚悟せよということになってしまいます。まるで戦争です。日本の総合力が試されているといえます。

治療薬としてアビガンが注目されています。新たに膵炎の治療薬フサン、喘息治療薬オルベスコ吸入、エボラ出血熱治療薬なども注目されていますが、未だ確立した治療法が無いのが実情で、抗体が出来るまでの3~4週間を耐えて過ごすしかないようです。重症化時の人工呼吸管理はあくまで対症療法に過ぎませんが一縷の希望となります。幸いなことに若人の死亡はほとんど無いので、体力が続けば97%以上治るのです。(志村ケンさんは本当に残念でした。タバコ60本を吸いCOPDという基礎疾患があったようです。)

今後、全世界で大恐慌になって行きそうです。そのために自殺者が病死者を上回るようなことがあっては絶対なりません。政府には余程の経済対策をお願いしたいですし、国民もリスクを回避の工夫をしながら経済活動を再開しなければならないときが来ることも覚悟しなければならないと思います。いまが歴史の転換点です。